ダ・ヴィンチ (da Vinci)

内視鏡手術の成功率を高める補助機器

外科手術というとどうしてもマンガ「ブラックジャック」のようにメスで体を切って開き、内蔵や血管、骨などをつなぎあわせたり切り取ったりするというイメージがあります。

しかしここ近年の医療現場では内臓疾患においてそうした開腹手術をするという機会へかなり減ってきており、術後の回復を早めるためにいか余計な部分を切除することなく手術をするかということが求められる技術となっています。

そうしたできるだけ体に傷をつけない手術方法として導入が開始されているのが「内視鏡外科手術」という方法で、腹部の病巣に対して4ヶ所の穴を開けることで内部にカメラを入れそこで必要な処置をしていくというやり方をしています。

内視鏡外科手術の最大のメリットは、手術のあとがほとんどわからないということと、短期間の入院ですむため医療費をかなり安くおさえることができるということです。

また内視鏡手術の場合、通常の開腹手術で回復の遅れる腸管の運動が翌日には回復をすることができるので術後に腸の癒着が起こりにくいというところも大きな特徴です。

その反面で2015年に群馬大学病院で腹腔鏡手術をしたあとに同じ執刀医から施術を受けた患者が約30人死亡していたなど、技術的に問題があったのではないかと指摘される事件も起こっています。

この事件においては事実調査が完全に進んだわけではないので何が問題であったかについての断定は避けますが、いずれにしても腹腔鏡手術といった内視鏡を用いる外科手術はかなり高い技術が必要になるということは確実に言えます。

そこで難易度の高い腹腔鏡手術を確実に行うことができるために開発されたのが「ダ・ヴィンチ(de Vinci)」という機械です。
ダ・ヴィンチはもともと1980年代後半に米軍陸軍と旧スタンフォード研究所が共同開発をしたもので、当時は遠隔地である戦場でも手術ができるようにという目的で作られたものでした。

しかしその後ロボット技術が世界的に向上したこともあり、2000年には一般的な腹腔鏡手術を行うロボット機器としてFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可されています。

日本でも導入が進むロボット手術

ダ・ヴィンチが日本で導入されるようになったのは2014年7月からのことで、2014年の時点の調査では183台のシステムが全国の医療機関で使用されているということがわかっています。

世界的には開発国アメリカを始めとし、欧州やアジア各国などでも直接販売がされ、医療現場で積極的に使用をされるようになっています。

腹腔鏡手術というのは体に開けた小さな穴の中に器具を挿入し、内部で機器を動かしていくという作業になるため直接患部を見ることができないことに加え、ちょっとした手元の狂いが他の臓器を損傷してしまうことになってしまいます。

そのため人間が習得をするというのは相当に難しく、開腹手術に比べて導入の歴史が浅いことから熟練の医師の育成に時間がかかっているということが問題です。
その点ダ・ヴィンチのような機械による制御システムは手元に狂いがなく、かつ患部を映像としてすぐに撮影することができるという利点があります。

直接内視鏡手術を習得するよりもこちらの機器使用をマスターするという方が何倍も早く、より確実に正確に難易度の高い腹腔鏡手術を進めていくことができます。

完全にロボットが手術をするわけではない

一つ誤解のないように付け足しておくと、このダ・ヴィンチのような機器はあくまでも手術補助のための機械であって、ロボットが完全に手術を全自動で担当するというわけではありません。

ダ・ヴィンチは非常に綿密で正確な動きをすることができる機器であるため、髪の毛ほどの細さのものをつまんで操作をしたり臓器を縫ったりということが可能です。

しかしそれをするのは別室などでモニターで操作をする医師であり、瞬時に複数のモニターに掲示される生体情報を見ながら手術を進めていくということになります。

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