サイバーナイフ

ロボットの行う放射線治療

「サイバーナイフ」と聞いたとき、おそらく多くの人はまるでSF映画か何かのようなエネルギー波による刃物のようなものを思い浮かべるのではないでしょうか。

ですが医療現場におけるサイバーナイフとは、放射線治療をロボットによって管理する新しい医療機器の一つのことです。
サイバーナイフ装置は患者さんを乗せる寝台を中心に天井にX線源と画像検出器がついたロボットアームとで構成されています。

イメージとしては手術室の中に患者さんが横になり、それを室内に付けられたカメラが撮影しロボットが治療処置をしていくという形になります。

しかしロボットアームによる手術と異なり、室内にいる患者さんは着衣をした状態のままであり施術中に何らかの痛みを感じるということもありません。

「ナイフ」という名称がついてはいるものの、実質的には何かを切りとるということはなく人工頭脳によって管理をされたロボットアームが患者さんの体の中にある病巣に放射線をビームとして照射をし、ピンポイントで悪性の細胞を取り除いていきます。

これまで用いられてきた放射線治療と異なるのは、完全に人工頭脳によって動きを管理することにより人の手では確実に照射をするのが難しかった部分まで対応することができるということです。

サイバーナイフ治療のメリット

サイバーナイフ治療が使用されるのは、放射線治療が必要ながん患者のうち特に照射が難しい患部を持つ頭頸部や呼吸器に施術が必要な場合です。

特に呼吸器は麻酔などをした場合であっても臓器の動きを止めることができず常に動き続けなくてはならないことから、患部を特定して放射線治療機器を使用しようとしても場所が移動してしまい一箇所に照射が難しいという問題がありました。

そこで人工頭脳によって動きを制御されるサイバーナイフ治療では、呼吸の動きに合わせて照射場所も一緒に移動していくことになるので、これまで不可能とされてきた体の部位にも安全に施術が可能となります。

頭部への照射の場合にはあらかじめ患者さん専用に作成された固定用マスクを身につけ、精密度が求められる照射を受けていきます。
これまでの放射線治療では金具などで完全に頭を固定させた上で行っていましたが、このサイバーナイフではマスクをロボットアームが追っていくという形になるのでよりズレの少ない確実な治療ができます。

大掛かりな装置が必要になる理由

サイバーナイフ治療をするときには一室全体を装置のために使用しなければいけません。
これはより正確に患部の位置を特定するための撮影機器を用いるためであり、機械の大きさに反し機器の動きはかなり精密なものとなっています。

患者さんが横になっている寝台を取り囲むように付けられているのは、最初に少し紹介したX線源の他、ロボットマニピュレータや直線加速器(リニアック)、X線画像検出器、呼吸追尾システムなどです。

別室には機器を操作する医師や技師がおり、送られてくる映像をもとに患部への照射を行い緊急時にも対応ができるようになっています。

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